2018年5月30日水曜日

Visual C++ の wprintf の独自仕様

今でこそかなり改善されましたが、Visual C++ は C/C++ 標準規格に沿わない独自仕様が多いことで有名です。
その中で意外と知られていないと思われるのが、wprintf 系関数で文字列を出力する際の指定子の違いです。

printf で %s を 指定した場合は const char *、%c を指定した場合は char (実際に渡るのは int ですが)を要求されます。

printf("%s %c\n", "string", 'c');

ここまでは当然のことですが、wchar_t が入ってくると話がややこしくなります。
C/C++ の規格上、wprintf などの wchar_t 系の関数であっても、%s は const char *、%c は char が要求されます。
そして、wchar_t を扱いたい場合は、%ls と %lc を使わなければなりません。

/* wprintf に char の文字列と文字を渡す場合 */
wprintf(L"%s %c\n", "string", 'c');
/* wprintf に wchar_t の文字列と文字を渡す場合 */
wprintf(L"%ls %lc\n", L"string", L'c');

しかしながら、Visual C++ はこの規格に従っておらず、wprintf に %s と %c を指定した場合、wchar_t であると解釈します。
また、char を渡したい場合は独自仕様の指定子 %hs と %hc を使う必要があります。

/* Visual C++ の独自仕様により、%s と %c は wchar_t が要求される */
wprintf(L"%s %c\n", L"string", L'c');
/* char を渡す場合、独自仕様の %hs と %hc を使用する */
wprintf(L"%hs %hc\n", "string", 'c');